日本銀行券の束の写真について

いくつかのコメントをいただいたが、日本銀行券を見ると目を逸らしたくなるという日本人の感情的な性質がよくわかる結果になった。逆に、諸外国 (特にアメリカ、欧米など) では現金に対して (他の物質とは別の) 特別な感情を持たない人が多いそうである。その差は何であろうか。大変興味深く思ったので、いくつか分析してみた。
■ 他の有価証券および有価物
日本銀行券 (通称 "現金")と同等に価値を持つ有価証券や、価値がある程度安定して取引可能な有価物としては、たとえば下記のようなものがある。
下記のようなものの写真が、価値を示す説明文と共にどこかに掲載されていたとしても、それに抵抗を示す人は現金の場合と比べて抵抗が少ないと推測する。

  • 図書券、商品券、ビール券、テレフォン・カード、商品引換券、SuicaEdy などの IC カード、その他プリペイドカード
  • 航空券、乗車券、乗船券、イベントなどの入場券、小切手、支払手形、株券、国債社債
  • 工業製品 (CPU など) 、貴金属、宝石、土地、家 (豪邸など)、車輌、骨董品、塩、小麦、米、大豆
  • その他

上記のようなものと、日本銀行券との違いは何であろうか。
■ "日本銀行券" の写真を見ると価値が推定できるので写真に撮ってはいけないのだろうか?
確かに土地や家、IC カードなどは写真を見ただけでは正確な価値を推定しにくいのだが、他の有価証券やトークン、宝石・貴金属、農作物などは写真に載っているものの種類と量だけで正確に価値を推定できるものがほとんどである。したがって、日本銀行券以外の有価証券・有価物も、「写真を見ると価値が推定できる」という特徴には違いは無い。
■ "日本銀行券" の束の価値が多いように見えるので写真に撮ってはいけないのだろうか?
確かに札束を見ると価値が多いように見えるかも知れないが、貴金属・宝石・土地・家などの有価物はより簡単な写真でも通常の札束の写真よりも大きな価値があるものが簡単に写真に撮れるし、それらの写真を見ても抵抗を示す人は少ない。したがって、この分野でも日本銀行券の写真とそれらの写真に特徴的な差は無い。
■ "日本銀行券" は安定した資産であるので写真に撮ってはいけないのだろうか?
日本銀行券よりも、貴金属、宝石、土地、家 (豪邸など)、骨董品、塩、小麦、米、大豆などのほうが価値で安定することも多くある (もちろん個々の有価物はどれも日本銀行券よりも価値が不安定になることもあるが)。特に資産家などは財産の一部を金属に変換して保有するという。したがって、この分野でも日本銀行券の写真とそれらの写真に特徴的な差は無い。たとえば 100 万円とわかる宝石が写真に載っていても「おおー」と感心するのに 100 万円分の日本銀行券が写真に載っていると「この写真はけしからん」などと言う人がいるかも知れないが、その差は何なのだろうか。
■ "日本銀行券" は決済に便利な有価証券なので写真に撮ってはいけないのだろうか?
"日本銀行券" は確かに決済には便利である (多くの窓口で使用できる) が、最近では他のトークンを用いて同等またはそれ以上の便利な決済が行える。そもそも便利なものを写真に撮ってはいけないなどというはずはない。
■ "日本銀行券" は中央政府の指示によって製作されたものであるから写真に撮ってはいけないのだろうか?
中央政府の指示によって製作されたものであるから写真に撮ってはいけないというのは説得力が皆無である。官公庁舎、国立大学、確定申告書類、公文書、国道やその道路標識、など政府によって製作されたものの写真を見ても別に何ということはないのに、日本銀行券だけ特別視するのはおかしい。
■ "日本銀行券" はよく目の眩んだ人による盗難・強盗・横領の対象となるようなものなので軽々しく写真に出してはいけないのだろうか?
確かに日本銀行券はよく盗難・強盗・横領の対象となるが、工業製品、貴金属・宝石、商品券類、プリペイドカードなども同等程度に盗難・強盗・横領の対象となる危険性があり、土地や家、塩、小麦、米、大豆などは詐欺などによって奪われたり横領されたりする危険性がある。したがって、この分野でも日本銀行券の写真とそれらの写真に特徴的な差は無い。


上記のこと以外にも、"日本銀行券" (を撮った写真) の特徴はあると思うが、どれも他の有価証券・有価物 (を撮った写真) との決定的に違いは見当たらない。


上記のことを総合すると、特に "日本銀行券" が写った写真は、他の色々な物が写った写真と比較して特に差別化して取り扱わなければならないという理由は見当たらない。それでも、前述の「日本人が日本銀行券 (やその写真) を見ると目を逸らしたくなる」というような感情的な性質は未だ残っているのも事実であると思う。もし、日本銀行券は有価物と差別化して忌避したり神格化したり恐れ敬ったりするべきであるという人もいるというが、それであれば他の有価証券や有価物も同等程度に忌避したり神格化したり恐れ敬ったりするべきであるし、もし他の有価証券や有価物 (およびその写真) を普段からそれほど忌避したり神格化したり恐れ敬ったりしていないのであれば、同等程度の精神で日本銀行券に接すれば良いのではないだろうか。


■ 銀行窓口で日本銀行券を引き出し、別の ATM に入金するのは危険だという意見について
警備と枚数チェックのためにもう1人連れて行ったのと、距離が短いので、その危険可能性と、地方銀行の高額な窓口での銀行振り込み手数料 (ちなみに ATM では制限がかかっていて全額を 1 日で振込できない) との 2 つのリスクを考えた結果、前者のほうが明らかに少ないと考えたから手動で資金移動を行ったものである。
また、すでにほぼ全額をネット銀行に移動したし、今後仮に別の銀行に資金移動するとなると、恐らくその頃には高額な手数料などあまに問題にならない程度に資産が増えているはずであると予想するから、その際には銀行振込を使えば良いので、今後別に多くの枚数の日本銀行券を物理的に持ち運ぶことは恐らく無いと思われる。したがって、写真の日本銀行券を今手元に持っているとか金庫に入れているという訳ではないので、警備上の問題にはならない。


■ 写真に撮った "日本銀行券" をそっくりそのままNHKの「歳末助け合い」に寄付したら尊敬するという意見
資金の活用を "NHKの「歳末助け合い」" に委任するよりも、その資金を手元に残しておいたほうが、同額であっても、より大きな利益を自身および公共の両方のためにもたらすことができるという自信があるため、"NHKの「歳末助け合い」" に委託することはない。そもそも、"NHKの「歳末助け合い」" サービスがどのようにして資金を活用し、どのような活動を行っているのかを、すべて詳細に把握してその裏づけを取ってから、"NHKの「歳末助け合い」" に委託するというのならわかるが、特に "NHK" というネームバリューがあるので安心だろうという考えで "NHKの「歳末助け合い」" サービスを推奨するのは良くない。"NHK" の信頼度はこの 1 年間で大きく揺れたので、なおさらである。