水中

カヌーは、ある程度まで傾くと、もはや逆側に体重をかけても後戻りできず、確実に沈する角度があるようである。なんとその角度を突破してしまった。バランスを崩してから約1.5秒以内に、カヌーが完全に転覆し、自分ともう一人の後ろで漕いでいた人は水中に落ちた。
あちゃー。
筑波大学は広いのでたくさん池があるが、天久保池の汚さはまた格別である。
水位はそれほど高くない(1メートルちょっとぐらい)のだが、湖底には底なし沼のようにヘドロがたまっている。しかも、この天久保池には、隣に立った「総合研究棟D」などと呼ばれる巨大ビルの建設中の廃液を流し込んでいたようである。(以前、工事中にポンプで直接工事廃液を流し込むところを見てしまった。)
また、冬なのでとても水は冷たく、5℃くらいだったと思う。
これくらい冷たいところに突然落ちると、全身の感覚がおかしくなって冷たさをほとんど感じなくなる。
幸運にも、携帯や財布などはあらかじめ出しておいたのでそれらが破損することは無かったが、ポケットに入っていたメモとボールペンがお亡くなりになった。
通常池に落ちただけであれば、そのまま岸まで泳げばよいのだが、カヌーを転覆させてその後微妙な角度で水に浮かんでいるので、放っておくとどんどんカヌーに水が流れ込み、やがてカヌーは沈み出す。一旦カヌーが沈み始めると、数トンの水がカヌーに入ることになり、どんな力で引き上げようとしてもカヌーを引き出すことはできなくなってしまう。(と先生が言っていた)
そこで一生懸命カヌーに水が入らないように安定させて、泳ぎながら岸まで運んだ。
埠頭(のようなところ)では何十人もの体育の受講生がこっちを見て唖然としていた。