iPad / iPhone 版 Kindle に辞書が搭載された
昨日、iPad 版 Kindle アプリに辞書が搭載されたバージョンがダウンロード (アップデート) 可能になった。ただし、英英辞書のみである。これも Apple の iBooks と同様に、New Oxford American Dictionary が使用されている。実はハードウェア版 Kindle には昔から英英辞書が搭載されていたが、iPad 版には未搭載であった。これが非英語圏の読者が iPad 版 Kindle で洋書を読む際における欠点であったが、今回のアップデートにより、Kindle のその弱点はなくなったことになる。
iBooks は前述のように、品ぞろえが Kindle Store と比較すると悪いし、また、米国の領土以外で洋書を購入することが規約上できないように書いてあるので、日本人が日本から iBooks 用の本を購入するのは気持ちが悪いという欠点がある。しかしこれまでは Kindle アプリが辞書を持っていなかったので、仕方なく iBooks のほうを使っていた人もいただろう。だが、このアップデートによって、下の画面のように、iBooks と同様の辞書が Kindle でも表示できるようになったので、英英辞書で満足できる人は、これでもう iBooks を使う必要は無くなるかも知れない。
iBooks と比較して Kindle が良いところは、iPad, iPhone, ハードウェア版 Kindle、PC (Windows) でも書籍が読める点にあると思う。iBooks では iPad や iPhone でしか読めない。Kindle Store で購入した本は、もし、将来、iPad や iPhone がガラクタになってしまっても、新たなデバイス上で Kindle アプリが走れば、再度書籍を購入しなくてもそのまま読める訳である。Amazon の戦略を考えると、今後、多くの携帯デバイスで Kindle アプリが動作するようにしそうなところである。これと比較して、iBooks 用に書籍を購入することは、今のところ、Apple のデバイスに依存してしまうというリスクを抱えることになる。
また、上記の画面を、iBooks の辞書の写真と比較していただければわかりやすいが、Kindle では、英英辞書の単語は画面の下の部分に表示される。iBooks では、iPad 版ではポップアップ形式で、iPhone 版では画面が切り替わって表示される。どちらかというと、Kindle の表示方法のほうが目ざわり感が低いと主観的には思う。さらに、Kindle では単語を 1 度タップするだけで、簡単に辞書が出てくるが、iBooks では単語をタップしてさらに「辞書」というボタンをタップしなければ辞書が出てこない (要するにタップ回数が 1 回多く必要である)。また辞書を表示するときのレスポンス (体感速度) も Kindle のほうが断然良い。
逆に iPad 版 Kindle の欠点は、今のところ、英英辞書しか内蔵しておらず (厳密には、内蔵ではなく、最初に辞書を使用しようとする際に自動的にダウンロードされるようである。これは iPhone 版の iBooks も同様である)、英和辞書を表示する方法が無いということである。ハードウェア版 Kindle では無理やり英和辞書を入れる方法があるらしいが、今のところ、iPad 版 Kindle ではそれは不可能である (もしかすると、Jailbreak すれば可能なのかも知れない)。さらにもう 1 つの欠点は、iBooks が一応は (暗号化はされているものの) ePub 形式でデータをファイルの形式でダウンロードできるのに比べ、Kindle ではプロプライエタリな独自形式でしかデータをダウンロードできない点である。この 2 つが解決されれば、Kindle のほうが iBooks よりも強い電子書籍閲覧・配信システムになると思う。