TWINS (成績管理システム) で確定・発表前の成績を見る方法があった

筑波大学の成績処理システム (TWINS) について、一部の学生の間で流行していた、極めて有益な操作方法があったので紹介します。なお、現在はこの技は使えません。


筑波大学では、学生は TWINS という Web ベースのシステムにログインし、履修する授業を登録します。すると、その授業を担当する教員がログインしたときに、履修者の一覧が出てくるので、学生 1 人 1 人について、誰にどの成績をあげるか (A、B、C、D、履修放棄) を決意したら、その教員が自ら Web ブラウザを操作して、各学生のレコードに成績を入力します。


教員が入力した成績は TWINS 上のデータベースに保存されますが、その時点ではまだ確定ではありません。成績は、"だいたい何日から何日の間に入れてください" という入力期間中に教員が入力し、全員の教員が入力し終わった時期を「成績確定日」として予め決めておき、その日に事務の人が成績確定処理を実施して確定します。


たとえば 7 月初旬に期末試験をやって、7 月中旬くらいまでに教員が成績を入力し、7 月下旬 (20 日くらいだったと思う) に成績確定し、確定の瞬間、全授業について一斉に成績が確定・発表される (その日は予め学生に知らされており、午前 11 時ごろから見れるような感じだったと思う) ような 2 段階の仕組みになっています。教員はメモとして成績を途中まで入力したりしていて、後で確定日前にいつでも一応は変更できるようになっているので、確定日前に学生が自分の履修授業の仮入力された成績が見えたらマズいということなのでしょう。


ところで、学生が成績を見る場合は、Web ブラウザで TWINS にログインし、「個人成績参照」というようなリンクをクリックします。すると、「画面上に HTML テーブルとして表示する」CSV ファイルでダウンロードする」かを選択するページがあり、そこでデフォルトは「画面上に HTML テーブルとして表示する」が選択されています。この状態でボタンをクリックすると、表形式でブラウザ上に成績一覧が表示されますが、既に教員が成績を入力したにもかかわらず「確定日」前の状態では、成績を表示する欄に「履修中」と表示され、教員はどのような成績を入力したのかはまだわかりません。


で、このような仕組みで 2002 年 4 月から 2 年間くらい運用されていたのですが、一部の学生連中は変なことを知っていました。前記のページで、画面上で表示するのではなく、CSV ファイルでダウンロードする」を選択して CSV 形式でダウンロードすると (そもそも、普通の学生は画面上で成績が見れれば満足するので、まず CSV でダウンロードという機能は使いません。一部のコンピュータが好きな連中くらいしか使わないのかも知れません。)、HTML では表示されないはずの、教員が入力した未確定の状態の成績 (メモ的に入力されている成績) が普通に CSV の中に格納されて見えるという、大変有益な事実を一部の学生は利用していました。


恐らくこれは単純なプログラムの仕様の間違いだと思うのですが、上記を知っていた学生は、単に CSV 形式でダウンロードするオプションを選択してダウンロードすれば、発表日以前に成績が見れた訳です。これは、何か秘密の裏コマンドを入れると、本来非公開のはずの情報が事前に見れるというような秘密の仕組みであるかのように錯覚してしまうこともあるかも知れませんが、冷静によく考えると、何か不正な処理 (プログラムのバグを不正に突いたり、変なデータを入力したり) することなく、堂々と、普通の機能利用の操作方法として、CSV 形式でダウンロードすることを選択しているだけであり、大学の事務の人にばれても怒られる筋合いはない (HTML で取得すると確定前成績データが表示されず、CSV で取得するとなぜか確定前成績データが表示されるという違いを活用しているだけである)ということで、情報の連中はけっこうこれを利用して自分の成績を確定日 (発表日) 前に見ていました。


しかし、これはおかしいのではないかと誰かが事務にクレームしたらしく (教員が仮入力した成績について、発表前に学生がその教員に、なぜ成績が悪いのかというクレームをし、教員の立場からすると、なぜその学生に悪い成績を付けたことが発表日以前に学生にバレたのかということを不思議がって、調査したという噂有り)、その後しばらくしてこの変な仕様は改定され、CSV 形式であっても HTML 形式で開示されるのと同一のデータのみしか開示されなくなってしまいました。