びっくり!道路交通法 その 1: 交差点での U ターン

自動車を運転していると、道路を U ターンしたくなる場合があります。このような場合、中央分離帯がある道路などでは、交差点で U ターンを行うのが都合が良い場合がありますが、交差点で U ターンをしようとする場合は、信号機の状態や規制標識・規制表示をよく目視確認し、その U ターンが適法か違法かを判断しなければならない場合があります。

パターン 1. U ターン禁止の道路の交差点の場合: 違反

以下の規制標識が設置されている道路等、公安委員会によって U ターンが禁止されている道路では、当然ながら、その道路の交差点で U ターンすると道路交通法違反になります。これは、普通に免許を取得した方であれば、誰でも分かることで、特に議論する必要はなさそうです。

パターン 2. 規制標識または規制標示で通行方向が指定されているレーンから交差点に進入する場合: 違反

以下の規制標識や規制標示が設置されている道路等、公安委員会によってレーンごとの進行方向が指定されている場合があります。


たとえば、交差点直前に上記の規制標識や規制標示がある交差点で、交差点で U ターンするために一番右側のレーンを進行して交差点に進入し、その後 U ターンすると、道路交通法違反になります。これは、結構気づかずに違反している人が多いようですが、ある交差点には「ここで U ターンすると違反になります」と大きく書いてあり、警察も取り締まりをすることがあるようです。

パターン 3. 赤信号でかつ右矢印が点灯しているときに交差点に進入し U ターンする場合: 違反

公安委員会が設置した信号機 (普通の信号機のことです。) が設置されている交差点があります。そのような交差点では、赤信号であっても、信号機に以下のような右矢印が点灯している場合は、車は停止線を越えてから交差点に進入して右折することができます。

ただし、赤信号で上記の右矢印が点灯しているときに停止線を越えて交差点に進入した後に U ターンすることは、交通法違反になります。これはとても多くの方が気づかずに違反されているのではないかと思います。
詳しくは、道路交通法施行令第 2 条 (信号の意味等) の表を参照する必要があります。
まず、「赤信号」は、車が停止線を越えて交差点に進入することを禁止しています。ただし、上記の「右矢印」が点灯しているときは、信号機が「赤信号」であっても、車は「矢印の方向に進行する」場合にのみ、停止線を越えることを明示的に許可しています。
「矢印の方向に進行する」場合以外の場合は、「右矢印」が点灯しているときであっても、車は停止線を越えて交差点に進入してから U ターンすることは赤信号無視になります。
したがって、「右矢印が点灯している赤信号」のときに交差点の直前に到達し、U ターンをしたいと考えていた場合は、仕方が無いので次に信号が青になるまで待つために停止線の直前で停止するか (右折したいと考えている後続車がいる場合はクラクションを鳴らされるなどの不利益があります)、または、停止線を越えて U ターンをあきらめて右折する必要があります。
この場合は、特に東京では、よく警察が取り締まっていると聞きます。

パターン 4. 青信号または黄信号のときに交差点に進入した後に赤信号になり、かつ右矢印が点灯した場合: 適法

パターン 3 と似ていますが、停止線を越えて交差点に進入した時点では青信号または黄色信号であった (黄色信号であったとは、黄色信号が点灯したときに停止線で安全に停まることができないので停止線をやむを得ず通過した場合とし、以下同じ。) が、U ターンしようとして対向車が途切れるのを待っていたところ、こちらの信号が赤信号になり、かつ、右矢印が点灯している場合は、パターン 3 と異なり、U ターンをすることは適法です。
道路交通法施行令第 2 条 (信号の意味等) の規定では、右矢印の意味は、赤信号のときに停止線を越える行為が原則禁止となっているところを、特定の条件 (右折しようとする車に限るという条件) の場合のみに許可するという意味になっています。青信号または黄信号のときに交差点に進入した車は、その時点で停止線を越えているため、赤信号無視にはなりません。また、右矢印が点灯しているからといって、車は必ず右折をしなければならない訳ではなく、赤信号無視をしなければ、直進、左折、U ターン等を行うことができるのです。
ただし、当然パターン 1、2、3 のいずれかに該当する場合は、U ターンをすることはできません。

パターン 5. 青信号または黄信号のときに交差点に進入した後に赤信号になった場合 (右矢印は無いか点灯していない): 適法

パターン 4 の場合の変形で、右矢印がそもそも無い信号機の場合、または点灯していない場合についても、パターン 4 の場合と同様に U ターンは適法です。
右矢印は、赤信号無視の成立の条件を緩和するための信号であり、そもそも赤信号無視をしていない車 (青信号または黄信号のときに停止線を越えて交差点に進入した車) にとっては無関係です。

パターン 6. 青信号の場合 / 信号の無い交差点の場合: 適法

パターン 1、2、3 の場合 (または他に禁止されるべき理由がある場合) に該当しない場合は、U ターンすることは適法です。

まとめ

交差点で U ターンしたい場合、その U ターンが適法か違法かについて、上記のことを踏まえて、条件判定を瞬時に頭の中で行う必要があります。

具体的に上記をまとめると、以下の条件のうち 1 つにでも該当する場合は U ターンは違法になってしまうということになります。

  1. 走行中の道路が公安委員会によって設置されている規制標識や規制標示で U ターン禁止とされている場合。
  2. 走行中のレーンが公安委員会によって設置されている規制標識や規制標示で方向指示されている場合。
  3. 交差点の停止線を越える瞬間に信号機がである場合 (たとえ右矢印が出ていても U ターンできないので、停止線を越えずにそこで停止するか、停止線を越えて右折するかのどちらかの選択を迫られることになります)。

逆に上記にあてはまらない場合、特に、以下のような場合は U ターンすることは適法ということになります。

  1. 交差点の停止線を越える瞬間に信号機が青または黄であり、交差点に入った後にになった場合 (右矢印の有無にかかわらず U ターンできる)。
  2. 普通に青信号の交差点の場合
  3. 信号機がない交差点の場合

標識等のイラストは、道路標識の画像 からいただきました。上記の説明に仮に誤りがあり不利益が生じても筆者は一切責任を負いません。