ドコモ回線の海外ローミング利用で 116 ページの料金請求書が届いた

NTT ドコモの携帯電話契約には、1 ヶ月ごとの利用分について通話やパケット明細の通信記録をまとめて翌月の 10 日ごろに郵送で受取ることができる「料金明細送付サービス」というサービスを付加することが可能です。このサービスを有効にすると、料金請求書に、詳しいパケット通信料の明細が印字されることになります。


ところで、この「料金明細送付サービス」に表示される明細のうち、電話による通話は必ずすべての通話の発信履歴が 1 通話につき 1 行のスペースを消費して用紙に印字されます。1 秒で切れた通話の場合も、100 時間話し続けた通話の場合も、等しく 1 行分のスペースを消費します。
一方、国内におけるパケット通信を行った場合は、1 日のうち、何度、パケット通信の回線 (PPP 接続) を接続・切断した場合でも、1 日分まとめて転送バイト数が合計され、1 行のスペースを消費して印字されます。すわなち、1 ヶ月間にたとえば「mopera.net」に毎日何回も接続してパケット通信したとしても、1 ヶ月分の料金明細書には最大で 31 行しか印字されません。
(実は、昔はパケット通信バイト数を 1 時間ごとに分けて印字していたようですが、最近になって恐らく用紙枚数を削減するために、1 日ごとに分けた通信バイト数しか印字してもらえなくなりました。1 日のうち 100 回、PPP 接続を接続・切断したとしても、料金明細書上は 1 行の印字にしかならない、という訳です。)


しかし、どうやらドコモ回線を海外にローミングして持って行った際におけるパケット通信料の明細は、国内でおける利用の記録と異なり、どんなに短い時間で PPP 接続を切断・再接続した場合でも必ずその PPP 接続が 1 行分の印字を行うようです。
たとえば、1 日に 1,000 回、PPP 接続を接続・切断することを繰り返した場合、1 ページの料金明細書には 60 行くらいしか印刷されないため、16 ページ分の料金明細書のページを消費することになる、という訳です。


最近のスマートフォン等を 3G 回線で利用した場合、スマートフォンは、一定時間通信がない場合は 3G 回線の PPP 接続を切り、次に通信が必要になった場合のみ PPP 接続を行う、というような動作になりますので、利用者が意識していなくても 1 日に何百回・何千回の PPP 接続・切断が行われる場合があるようです。国内での利用については前述のとおり 1 日分がまとめて明細書に印刷されますが、海外ローミングで利用した場合はどれだけ短い PPP 接続であっても、1 行分を消費して印刷されます。


実は、先日 1 週間ほど中国と香港へ出張した際に、FOMA を PC に接続してパケット通信を利用したのですが、その際に実際に 1 日あたり 1,200 回くらい PPP 接続を接続・切断してしまいました。海外に PC を持って行った際に、ホテルの部屋などのインターネット回線 (大抵は、ADSL を利用している) よりも 3G のほうが高速・低遅延に通信できる場合があるため、LAN ポート経由の通信速度と 3G 経由の通信速度がどちらが高速・低遅延であるかを 約 2 時間半ごと (10,000 秒) に判別し、高速なほうを自動的に利用する便利な最適化プログラムを Windows 7 上で実験的に書いて試験してみていたところ、その自作プログラムにバグがあり (10000 秒としてタイマーを動かすプログラムを書いたところ、間違えて 10000 ミリ秒 = 10 秒としてタイマーが動いてしまっていた)、約 20 秒ごとに PPP 接続を開始・切断してしまう動作になってしまっていたのです。
PC の電源を入れていた時間は 1 日あたり平均して 7 時間くらいなので、中国と香港へ出張している期間中、1 日あたり 1,200 回以上も PPP 接続を開始してすぐに切断する動作が発生してしまっていました。7 日間で合計で 1 万回程度、PPP 接続の開始・切断が行われてしまっていたようです。


ただし、PC に接続して使用していた FOMA 契約は「海外パケ・ホーダイ」 サービスの対象となる回線でしたので、1 日あたりどれだけ通信したとしても通信料は 2,980 円を超えるリスクはありません。1 日あたりの PPP 接続の発信回数についても 1 回あたり定額が課金されるという仕組みはありません (海外パケ・ホーダイ対象でない場合は 1 回の PPP 接続あたり最低 50 円が課金されるそうです)。


結果的に自作プログラムのバグにより、7 日間で合計で 1 万回以上の PPP 接続が繰り返し行われてしまっていましたが、その結果、翌月届く料金明細書には 1 万行以上の明細が印字されていました。


まず、普段は毎月、以下のような小さな封筒に入った料金明細書が届きます。この明細書の封筒は、毎月 10 日くらいに発送され、11 日か 12 日くらいに契約者のところに届くような仕組みになっています。



ところが、上記のような大量の通信をしてしまった月の明細書は、翌月の 11 日か 12 日には届かず、なんと普段よりも 1 週間も遅い 20 日に届きました。
恐らく、明細書を普通の小さい封筒に封入する作業は流れ作業で行われているところ、最後の封入をしようとした際にどう考えても封筒に入らない分量であったため、例外処理に移行して新たに別の大きな封筒に封入したので、余分に 1 週間の時間がかかってしまったのではないかと想像できます。
封筒は以下のように A4 用紙を折りたたまずに入れることができる大きめの封筒になっていました。中にはずっしりと書類が入っているようです。



驚きながら封筒を開けてみると、普段は数ページしかない料金明細書が 116 ページ分も印刷されて入っていました。



料金明細書の中身 (116 ページ) のうち大半は、以下のように、自作のプログラムのバグにより誤って 10 〜 20 秒ごとに PPP 接続の開始・切断を繰り返してしまったログが記録されていました。
(前述のように、本来の想定では 10000 秒ごとのタイマーで PPP 制御を動作させるべきところ、誤って 10000 ミリ秒ごとのタイマーで PPP 制御が動作してしまっていた)



なお、「海外パケ・ホーダイ」 サービスの対象となる回線でしたので、これだけ大量のパケット通信の接続・切断が行われてしまった場合でも、通信料は 1 日あたり 2,980 円を超えることはありませんでした。


近年はスマートフォンなどに FOMA 回線を入れて海外に持って行きローミング利用する方の数は増加していると思います。スマートフォンにも上記と同様に、頻繁に PPP 接続または IP 接続 (APN に対するダイヤルアップ) を繰り返す特性がありますので、上記のように 20 秒程度に 1 回には至らなくとも、数分に 1 回程度の接続・切断が行われてしまう可能性はあります。
そうすると、長期の海外出張から帰ってきた際に、自宅または会社に大量の枚数のパケット通信明細書が届いているという事態に遭うことになります。海外でパケット通信を利用する際にはこのように思わぬ事態が発生しますので、十分注意したほうが良いと思われます。


最後に、「料金明細送付サービス」は明細書の枚数がどれだけ多くなっても、作成料は月額 105 円に固定されています。郵送料がかかることもありません。