羽田空港・新国際線ターミナル 大変おおらかな出国審査場

2010 年の 10 月 21 日にオープンした羽田空港・新国際線旅客ターミナルの出国審査場を取材してきました。
この新しい空港の魅力をお伝えすることができればと思います。

出国審査場の風景

羽田空港・新国際線ターミナルの出国審査場 (なお、日本人は当然に出入国の権利が認められているので、公務員は日本人の出国を拒否することができないから、「審査」ではない。正確には「出国の確認」である。) は、以下の写真のように、パーティションで区切られたブースがずらっと並んだ形になっています。

入国審査官の使っている PC の画面

出国審査場の入国審査官が座っているブースを見せてもらいました。
NEC 製のデスクトップ PC 本体が置いてあります。しかし、液晶モニタとキーボードは HP 製でした。OS は Windows XP Professional Edition です。Windows の壁紙はデフォルトの草原に青空の壁紙です。


奥の PC では、以下のようなアプリケーションが稼働しています。


タスクバーには、Visual Basic (6.0 以前) のアプリケーションのデフォルトのアイコンが見えます。このアプリケーションはなんと古い Visual Basic で書かれています。

テキストボックスとラベルのコントロールの配置が綺麗に並んでおらず、微妙にそれぞれ数ドットずれています。このソフトウェアを受託した開発者は、Visual Basic のフォームを適当にマウスを用いてがんばって作成したのだろうということが想像できます。

また、アプリケーション (FSA51S という名前) のステータスバーには、中央のデータベースへの接続状況が表示されます。関西空港に接続しています」と丁寧に表示されていることから分かるように、関西国際空港出入国管理用のデータベースサーバーがあります。


Windows のタスクバーのタスクトレイ (常駐ソフトのアイコンが表示される部分) を拡大した写真は、以下のとおりです。緑色のアイコンに注目してください。同じアイコンがたくさん並んで表示されています。
Windows のタスクトレイの仕様により、起動中のアプリケーションがタスクトレイアイコンを作成してタスクバーに登録した後、そのアプリケーションがバグ等が原因で正常終了せず、突然クラッシュしてしまった場合は、アイコンが残ってしまいます。
以下の写真を見ると、アイコンは 5 個ありますので、本日は、少なくとも 4 回はクラッシュしているということになります。

誰もいない出国審査ブース

誰もいない出国審査ブースを見せてもらいました。
中央にあるスタンドに取り付けられて下向きに固定されているデバイスはパスポートの写真のあるページの下部の機械読み取り用の文字列を読む専用のリーダーです。また、右側にあるのはスキャナーです。左側には、手提げ金庫に入ったスタンプ (パスポートに押すためのもの) が置いてあります。

審査場をすり抜ける人を防止するための赤外線センサー

羽田空港出入国審査場は、実に大らかな管理になっています。審査官が各自のブースの中に入って仕事をしているだけで、全体を見渡す警備員や警察官は見当たりません。
いくつかのブースは、審査官が座っておらず、一見、気付かれずにそこを通り抜けることができそうですが、写真の赤丸で示した部品のように、赤外線で遮蔽検出を行うためのセンサーを、通路の部分に取り付けています。クローズされているブースのセンサーが反応すると、すり抜けが発生したことがわかるようになっています。センサーの位置は、地面から約 50cm で、他にセンサーはありません。空港の利用者は、間違ってクローズされているブースを通りぬけてしまわないように気を付けなければなりません。

審査場の端にある寛大な自動ドア

審査場の端には、自動ドアがあり、そこを通ると、物理的には、審査ゲートを通らずに審査場を通過することができます。
自動ドアは普通の自動ドアで、開けるためには鍵やカードは不要です。近づくとセンサーで自動的に開きます。音は鳴らず、とても寛大です。利用者は、間違ってパスポートのスタンプをもらわずにここを通ってしまわないように気を付けなければなりません。
空港会社の係員が業務のために逆方向に走って行った際にも自動ドアは開きました。したがって、審査場の逆流も物理的には可能です。間違って逆流してしまわないように気を付けなければなりません。


この自動ドアは、全く説明が記載されていませんが、本来は以下の写真のように、車椅子などの利用者のためのものです。